バウムテストで心がわかる?A4用紙を用意して「実のなる木」を描いてみよう。半分無料公開中!

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バウムテストで心がわかる?A4用紙を用意して「実のなる木」を描いてみよう。


まえがき

心理テストというと皆さんは何が分かると思い、どんなものを実際にイメージするでしょうか?雑誌の心理テストコーナーにあるような、架空の世界の行動を選ぶことで深層心理が分かるようなものを想像する方もいれば、インクのシミのようなものを読んで異常性が分かったりするようなものを想像する方もいるでしょう。実際に前者のテストは科学的裏づけはありませんが、インクのシミを読むロールシャッハテストは科学的な裏づけがあり、実際に臨床現場でも使われている心理テストです。しかし、それはクライアントの中にある異常性を計るためのものではなく、性格の特徴を捉えるために開発された技法です。心理テストというのは、クライアントの特徴を捉えるために、比較的序盤の段階で導入されることが多いです。バウムテストとは、紙に木を描いてもらい、その性格的特徴を捉えようと試みるテストです。5~6分の比較的短時間でテストを取ることができ、クライアントの負担も非常に少ないために、好んで使用する心理士が多いテストの一つです。
本書は、臨床心理学や心理テストに興味がある方の為に、バウムテストを簡潔に説明してあります。自分で描いてみて色々と見てみると面白いかもしれません。しかしながら、専門的なことは字数の関係で割愛してありますので、もしこの本で興味を持った方は更に専門的な本を読んでいただければと思います。心理テストは非常に複雑で、その状況によって解釈も異なってきます。軽い気持ちで他人にやってしまうと、その人を傷つけてしまう可能性もありますので、他人に取るならばなるべく他の専門書にも目を通していただければと思います。
なお、本書に出てくる事例は、専門書をもとに筆者が作り上げたフィクションの事例です。


バウムテストとは?

バウムテストとは、実のなる木を紙に描いてもらい、その形状や大きさからその人の性格の特徴を捉えようというものです。臨床現場では、短時間で終わりクライアントの負担も少ないため、好んで使用する心理士が多いです。もともとは、コッホという心理学者が、以前から職業面接の中で使われていたバウムテストを著書にして体系化したのがその始まりです。なぜ、木を描くことでその人の性格的特長が分かるのでしょうか。皆さんは「木をイメージしてください」といわれれば、漠然と木をイメージすることが出来ます。しかしながら、現実で木を眺めて見ると、その形はバラバラで自らがイメージした木とぴったりと重なるものというのはないでしょう。なんとなく、形が似ていたとしても、枝の出方や葉のつき方はまったく一緒ではないはずです。このように、漠然とイメージできるけれども、一本一本の形がまるで違うので、その人が持っている人間が木というものに投影される(象徴される)とされています。
実際、負担は少ないテストではありますが様々なことが分かるとされています。性格的特長は勿論のこと、発達水準(知的な発達や精神的な発達の度合い)や病理的側面(統合失調症などの精神疾患が隠れている可能性)なども特徴を見つけることが出来ます。解釈は非常に難しいテストではありますが、「実のなる木を描いて下さい」という簡単な教示で行なうことが出来るため実施においては検査者の熟練も余り関係がありません。
ただし、解釈が非常に複雑で難易度が高いです。一般的には、ブラインドと言って、テストだけを見て解釈は行なってはならないといわれています。つまり、検査者が面接で得た情報やその人の生育暦、様子や状態などをしっかりと把握した上で実施しなければなりません。つまり、実施は簡単ではありますが、所見を作成するのは熟練した心理士でないと行なえないということになります。
バウムテストは、一枚法と二枚法、三枚法というものがあります。皆さんはいきなり目の前に人が来て「実のなる木を描いて下さい」といわれるとどんな気分になるでしょうか?おそらく多くの人は少し身構えて、場合によっては緊張した状態で絵を描くことになると思います。
身構えて緊張する状態というのは、主にその人の社会的側面が反映されるといいます。つまり、その人の本心が分かるというよりは人と接する時にどのような特徴が出るのかということが反映されるのです。
その一方、二枚目、三枚目は緊張も解けるので、よりその人の本質に近い部分が象徴されるとされています。
日本では一枚法が用いられることが多いようです。
折角なので、読者の皆さんも試してみるのはいかがでしょうか。A4の紙を目の前に置き、実のなる木を描いてみてください。基本的にはボールペンを使用しますが、鉛筆しかない方はケシゴムを用いずに描いてみてください。


心理査定

さて、実際に人によって様々な木が描けたと思います。実際に解釈の説明を行なう前に、心理テストとは一体どのようなものなのかについて話しておきたいと思います。臨床心理士の行なう専門性は4つあると言われており、それは「査定」「面接」「地域援助」「研究」と言われております。心理テストは、その中の査定(アセスメント)という領域に含まれる業務です。それでは、心理査定とは一体どのようなことを言うのでしょうか。査定(アセスメント)とは、もともと経営学の用語で、会社の持ち物のうち負債がどのくらいで資産がどのくらいであると仕分ける行為を指して使われる言葉でした。それが心理学にも流用され、クライアントの中にある問題行動につながってしまう部分と問題行動の解決に使える部分がどの程度あるのか仕分ける行為を指して使われるようになりました。査定は主に三つの方法で成り立つと言われています。1つ目は面接法と言い、実際にその人と会って話を聞いたり様子を見たりして査定していく方法です。2つ目は観察法といい、実際に問題行動を起こしている場面や日常生活場面を観察することによって査定していく方法です。そして、三つ目が検査法といい、心理テストを行なう方法です。検査法は更に大きく分けて2種類に分かれます。それが、知能検査、パーソナリティ検査です。またパーソナリティ検査も「投影法」「質問紙法」「作業検査法」の三つに分かれます。バウムテストは投影法というジャンルに入ります。質問紙法は、出題者の意図が分かりやすいので、結果を操作しようとしたクライアントの場合結果を操作することが出来てしまいます。一方、投影法、作業検査法では出題者の意図が読めないため結果を操作することができません。
インクのシミを読ませるロールシャッハテストも投影法検査の一つです。


投影法

それでは、投影法について詳しく説明しましょう。繰り返しになってしまいますが、投影法とは心理査定における検査法の中のパーソナリティ検査の種類です。出題者の意図が見えないため、結果を操作することが困難です。つまり、これは言い換えると、意識的な側面よりも無意識的な側面が色濃く出るということに他なりません。
しかし、一般的には実施が難しく、時間のかかるものが多いです。バウムテストはその中でもかなり実施が容易な部類に入ります。フロイトを初めとする、古典精神分析には多くの反論や議論がありますが、無意識の存在自体は多くの領域で支持されています。バウムテストも古典精神分析学にそのルーツを置いていますが、多くの研究を経て現在でも実用に耐えうるものになっているというのが筆者の意見です。
投影法のテストは全て根拠がないと言い張る人も中にはいます。実際のところ、その理論基盤は精神分析学にあるので根拠に乏しい部分も存在はしています。しかし、現実に多くの臨床現場で使用され、診断や査定の一端を担っていることは間違いありません。


以上、ここまでで半分終了です。

本書でこのあとに書かれているのは

・バウムテストの解釈について

・左右の解釈

・上中下の解釈

となっております。

 


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