「電子書籍は読みにくい」「ブログの方がずっとまし。」そう批判したことのある諸氏は多いかもしれない。たしかに、ひところの勢いは消え、一時のブームは去ったように見える。
でも、宣言しよう。いずれ電子書籍は、出版界(書籍)の主流になる。それどころか、社会を大きく変える。
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活版印刷発明による革命
15世紀半ばのグーテンベルクの発明によって、たったの半世紀で人類がそれまでに印刷したものの何倍もの書物が発行された。
この人間がかつて得たことのない大量の知識はルネッサンス、大航海時代、宗教改革、中世暗黒時代からの解放、産業革命へとつながっていく。
印刷革命が起った当時は、ここまで世界を変えるとの認識は誰にもなかった。
同様に電子書籍革命がどんな次の社会を創るかは解らないが、少なくともその兆候は見てとれる。
そのファクターとなるのが電子書籍の普及である。
なぜ、電子書籍は広く普及するのか?
- 電子書籍は、ネット上で見つけて、ネット決済または無料ですぐに得られる。配送の時間もかからず送料もかからない。
- 著者から読者まで出版社、取次、少なくとも印刷会社を通さないで済む。間が減るだけで、コスト削減となる。しかも紙代がかからない。
- 電子書籍の場合、パソコンやスマフォ、タブレット端末などにデータとしてかぎりなく無限に保存できる。保管場所がいらない。
- 絶版はないから必要な書籍は必ず電子化して残すようになる。
- 古典など著作権の切れた書物がどんどん電子書籍化されている。それも含めてより多くの本が図書館や書店に行かなくても得られるようになるであろう。
電子書籍の普及でどんな変化が起るのか?
劇的な普及は、出版界やメディア、社会全般に短期・中期的にどんな影響を与えるのか予測を含めて考えてみたい。
A. 出版に与える影響
電子書籍が書籍の主流になる。
紙の書籍がなくなるというわけではない。「棲み分け」が進む。紙の本は、書棚に置いておきたいものだけになる。つまり、いい本は(人によって違うだろうが)紙として残るであろう。
一方で、電子書籍は、書籍として以外にネットに直接つながる別のコンテンツとしてどんどん進化していくだろう。
作家と読者を直接結ぶ。
読者が著者の電子書籍を直接買える。よって取次、書店、ときには出版社でさえも必要なくなってくる可能性がある。
読者が作家になる。
15世紀のグーテンベルクの発明では、印刷会社が全世界に爆発的に増えた。一方で21世紀の電子書籍の普及は、作家(著者)を増やす。
質の高い内容の電子書籍が生れる
前述したように古典の電子書籍化がすすんでいる。つまり一般の電子書籍のライバルの1つが、歴史の荒波に耐えた古典になる。自ずと切磋琢磨され質の高い電子書籍の刊行がおこなわれる。
このための絶対条件は「どうでもいい本との差別化」である。
B. メディアに与える影響
インターネット情報への信頼度を増す。
電子書籍を中心に、紙の出版の文化(編集・校正含む)をネットにもちこめば、次第にネット情報の信頼度は増していく。
ネットメディアの中核に
ネット情報の信頼度を保つ存在として、電子書籍が、ネットメディアの中核的存在となる。
AIの判断も、膨大な電子書籍情報のネットへの投入によって、より正確で価値あるものになるであろう。
映像との一体化
映像文化と電子書籍が結びつく。つまり、「映像の電子書籍化」、「電子書籍の映像化」が進むであろう。
たとえば、ドキュメンタリー映像に、キーワードに関連した電子書籍資料が添付されている。
一方で、電子書籍の小説に、ところどころ映像も楽しめるという「映像電子書籍」とでも呼べるような新しいコンテンツが生れるかもしれない。
C. 社会に与える影響
世界中、とくに日本国民がまた本を読む国民になる
かつては電車内ではほとんどの人が読書をしていた。
それが、いつの頃からか、スマフォに成り代わってしまった。スマフォで見ているのは、ゲームなどである。
しかし、今後、電子書籍の普及によって、また日本人が読書に戻ってくることが大いに期待できる。
電子書籍の普及は世界的なことであるけれど、江戸時代から貸本業があったくらいの本好きの日本人には、とくに有利に働くであろう。
結論「電子書籍が世界の精神文化をリードする。」
いまだ電子書籍を読んだことがない方はぜひ読み始めてほしい。自分の生活に取り入れることによって変化をもたらすだろう。
そして何より電子書籍による革命に参加することで、より文化的に進歩した新しい世界を創る一員になれる。なぜなら、今後の世界の精神文化は電子書籍がリードして創られるといっても過言ではないからだ。
その上でその創造した世界を存分に楽しむ。かつてない幸せを経験できるであろう。