読むだけで商談力が劇的に向上する本 絶版本無料公開中!


 

Contents

まえがき

商談がうまくなればビジネスはもっと面白くなる。

商談の目的は2つある。一つは、予定していた結果を得ること。取り引きを始めるとか、商品の導入を決定していただくとか、そういった事前に設定したゴールを達成する商談だ。

もう一つは、相談的な商談だ。お互いの状況や情報を持ちよって、
新しいビジネスが生み出せないか?
もっと面白いことができないか?
そういった創造的な商談だ。もちろん、その結果取り引きがはじまったり、商品の導入につながったりするのだが、「この商品を売り込むぞ」という商談とは違うということだ。

一つの商談のなかで両方の要素があると、有意義なものになりやすい。

本書では、商談をうまく行う方法を、できる限りシンプルに記載した。とりわけ、商談で一番大事なことは準備だ。準備が良ければ何倍もの価値を生み出せる。是非、本書を利用し、一段階上の商談術を身に付けていただきたい。


準備が商談を90%決める。

もし1時間の商談があるなら4時間は準備をしよう。
新規のお客様に商品を導入いただく商談だとしよう。
予定が決まった日から積極的にお客様の情報を調べよう。
どういった事業を行っているのか?
どんな部署があるのか?
業界での評判は?
取扱い商材は?
株主は?
社長の年齢は?
経歴は?
そういったことをできる限り調べよう。そして、今回提案しようとしている商品以外でも、導入の可能性があるものをリストアップしておこう。これは、最初の商品の導入がダメだった場合に使える。意外と狙っていた商品よりも、こういった二番手、三番手の商品が導入されることもある。

次に本筋の商談の準備だ。10分くらいで、まとめられるようにしよう。商品の説明、特徴。ここで、相手の会社の情報を踏まえた提案ができるといい。
「こちらの商品は中年男性に非常に人気があります」
事前に、情報を調べておくことにより、相手に刺さりそうなポイントがわかる。
商品やお客様が変わるわけではないのだが、相手が興味を持っているポイントを的確に突くことにより情報が伝わりやすくなる。さらに、ほかの要素もある。
話のポイントがわかると感じれば相手は、ほかのビジネスの話になった場合も耳を傾ける。
「このメインの商品もいいけど、ほかにもなにか、ありませんか?」
そういった感じだ。
このパターンが起きれば商談はうまくいったと言える。これは、あなたが相手の会社の理解度が高くないと言ってもらえない台詞だ。

また、第二、第三、の商品をもったいぶらずに、どんどん見せよう。そして、それを紹介する理由をしっかりと伝えよう。よくある失敗は、今、世の中で売れている商品だから紹介するというパターンだ。それはお客様にとって関係ない商品であることも多い。しっかりとお客様が必要な商品を提案しないといけない。

まず、覚えていただきたいことは、
商談の準備は4時間かけてする。
先方の情報はできる限り調べる。
それが雑談を生んで、予想外の成果を生み出す。


現地には1時間前に入る。

はじめていく商談場所なら現地には1時間前には入りたい。商談場所の近所のカフェでコーヒーでも飲みながら商談資料を確認したり、相手の会社の情報を見返したりしてほしい。すると、良い精神状態で商談に臨むことができる。そうなれば成功する確率は高まる。

逆に、ぎりぎりに現地に行く人もいる。そういった人はたまに商談に遅刻する
。遅刻は最悪だ。最初の商談から遅刻するような会社の商品は、今後も納期が送れるかもしれないし、反対の立場だったら支払いが遅れるかもしれない。これは関わりたくないところだ。

商談は一回勝負で、本番だから一時間くらい前に現地に入るのは当たり前だと思おう。試合を控えたスポーツ選手が現地に10分前に入るということはない。準備運動も必要だし対戦相手の最終確認もする。ビジネスパーソンにとって商談は試合だから、同じような覚悟で臨みたい。

また、商談のアポイントメントを取り、準備をするだけで、合計の時間では5時間、6時間、ヘタすれば一営業日くらいは使っているわけだ。それなのに、たった一時間をケチって遅刻すれば、先行投資した時間は無駄になってしまう。普通に商談で断られたなら、いろいろなビジネス的問題を検証する機会にもなるが、遅刻でダメだったら、そういった情報の蓄積にもならない。
「今回の商談はなにがダメだったのか考えよう」
「遅刻したから」
なんの参考にもならない。
これは最悪だ。
遅刻を防ぐため。
精神的にしっかりとした準備をするため。
1時間前に現地に入ろう。これだけで、商談能力は劇的に向上する。


のんびり会社概要を読む人

はじめての商談の場合に、会社概要をのんびりと読む人がいる。
実際には相手を見て読み方を変えたほうがいい。とくに新入社員は、一定のペースで読み進めるが、これは非常に危険である。まず相手からしてみると眠くなる。商談の最初で眠くなられてはたまらない。では、読み方を解説しよう。

普通は相手に会社概要を渡して、それをもとに資料を一緒に読んでいくようなスタイルを取るだろう。パワーポイントで10ページ程度ある場合が多い。それを読んでいく際に、相手が次々と質問してくるならいい。相手は眠くなってない。説明用のパワーポイントの順番も相手が興味を引かれるような部分を前に持ってきたい。それでも相手が質問してこなかったら、
「一気にページをめくっていただいて」
などと言いながら、一気に取り引きに関係ある部分を説明して終わりにしてしまおう。さっさと商品の話に入ろう。もしかしたら、会社概要のなかに言いたいことが、あったのかもしれないが、相手が半分眠っているとしたら説明しても覚えていないから意味はない。どうしても大事なことは、商品の話をしながら、
「もう一度先ほどの資料を見ていただけますか」
と、言って、強引に戻ったほうがいい。そのほうが相手の頭に入る。商談をはじめたら早く対話に入らなければいけない。一方的なやりとりはメールでもできることなのだ。1時間の商談で10分間も使って会社概要を説明してはいけない。1分で、商品の話に入らなければ、決定権を持っている人ほどイライラする。
まず商品が、良いか悪いか、それが最初の関門で、それを超えたあとに、会社がどうかという判断軸がある。相手は、それを望んでいるのに、ダラダラと関係のない話をはじめれば、意図の通じない人というレッテルを張られてしまう。気をつけよう。


商談の目標をはっきりしておく。

導入を決定してもらうのか、新しいビジネスの可能性を探るのか、自分たちの思惑をまずしっかりと定義しておく。そこがあやふやなままだと商談は宙に浮いたようになり、商品どころか、あなたの会社自体の評価が下がってしまって未来においても導入のチャンスを得られなくなる可能性もある。

そういった意味でも会社概要的なものをのんびりと説明しているヒマはないのだ。まず、メインの商品。それがダメなら、2番目の策、3番目の策と、次々と手を打っていかなければならない。

意外と、2番手、3番手の導入が決まるということもある。例えば、卸売りをする営業の場合、商談のメインとなる1番目の商品はお客様からの問い合わせが会った商品の場合が多いだろう。
その商品をメインとして商談に行くのだが、商談までにしっかりと相手の会社を調べて、もっとフィットする商品を探しておく。すると実際の商談では、1番目の商品は、イメージと違ったということになっても、
「御社なら、こちらの商品がフィットすると思います」
と、営業をかけられる。これが意外とうまくいく場合が多い。先方の状況をしっかりと調べたうえでの提案だからだ。


相手の決済範囲を見抜く

露骨に聞いては失礼だから難しいのだが、相手の決済範囲を見ぬくことが大切だ。
相手が、課長なら10万円だろうか、20万円だろうか、部長なら100万円だろうか、1000万円だろうか、社長なら、無制限だろうが、会社として、どのくらいの判断をできるのか。
相手が可能な範囲を超えた要求をしても通らない。とくに課長、部長と商談する場合は、その決済範囲内での条件を用意すると通りやすい。
「この金額なら○○さんにご決済いただけますか?」
と、タイミングを見て、聞いてみるのも手だ。失礼にならないように聞いていただきたい。
そこで、基準が10万円とわかったら、その範囲に収まるように値引きするのもいいし、収まるプランを提案するのもいい。
試して、うまくいったら大きな契約にする。という方法もある。
また、分割払いにすることで決済範囲内に収めることも可能だ。100万円の備品、例えばコピー機、だったら、月々10万円の10ヶ月払いでリース契約、10ヶ月後には、そのまま引き取れるという契約にすれば、まったく同じ内容だが、決裁範囲内に入るかもしれない。相手の決裁範囲の問題は会社組織において意外とあるから気をつけたい。
「わたしはいいと思うんですけど、、、」
こういった言葉を聞いたら、決裁範囲を疑ったほうがいい。また上司がほかの案件で忙しくて、気を使ってしまって持ち込めないなんていう場合もある。ほかには、うまく説明できないかもしれない、という不安があったりして、なんとなく話を進めてくれないという課長も多い。そんな場合は、
「わたしが部長様に説明させていただきたいのですが」
と、切り出して、部長との商談をセッティングしてもらおう。これは、課長としては、自分で頭を使う余地が少ないので、意外と気楽に用意してくれることが多い。試してみよう。


雑談が大事

とにかく、お客様との雑談が大事だ。どんな話でもいい。鉄板ネタは子どもの話だ。天気から子どもの話につなげたりすれば自然だ。
「今日は熱いですねえ。でも、この天気が、このまま続いてくれるといいんですけど。土曜日は子どもの運動会でして」
このように、自然とつなげていこう。すると、先方は、子どもが何歳かとか、自分の子どもはとか、そういった話題が生まれることになる。ちょっと雑談ができれば、多少不躾なお願いも恐縮しながらでも言いやすくなる。たとえば、先ほどの部長との商談をセッティングしてもらうような件だ。真面目な話一遍等では、少し言い出しにくいことも雑談という下地があれば言いやすくなる。
とくに可能性を聞くようなケースだ。
「わたしが直接部長様とお話させていただくなんて、やはり無理ですかね」
このような会話は、雑談の延長のように話せるので切り出しやすい。さらに雑談の効能がある。
相手の状況がわかるのだ。
「お仕事は結構忙しいですか?」
このような話になった場合には、残業の状況とか、人員の状況とか、ヘタすれば業績までわかる。すると相手も、
「そうそう、だから業績を上げたくて御社に連絡したんですよ」
そういった裏話が出てきたりもする。これなら部長とも会わせてくれるかもしれない、と予想もつく。
雑談の効能として、相手の情報がわかるということだ。実は、相手の会社の状況じゃなくて、その人個人の状況でもいい。そういった他愛もないことを話していることが大切だ。それによって会話が弾み、盛り上がれば情報は得られる。
「そういう状況だったら、こちらの製品があってますよ」
そんな、気付きが起こることも珍しくない。
また、雑談の良い所が、もう一つある。
相手から、無理を言ってもらえるところだ。
「申し訳ないんですけど、部長に直接説明してもらうことできますか?」
このように、相手から、普通では頼みにくいことを相談いただける可能性が高まる。はっきりとお願いするのは、少し厚かましいかなと思っているようなことでも雑談で人間関係ができてくると提案いただけるものだ。こうなってくると、お互いに考えているアイデアをしっかりと共有して一番いい方法を考えることができる。
ここまでの関係性を築いたら、商談は最高の結果になる。商品導入の可能性がわずかでもあれば、導入してもらえるだろう。もちろん、ビジネスとしてダメな場合はあるだろうが、先方とは、また率直に商談できるので、これからも長い付き合いをしていけるだろう。

雑談をして、率直に話し合える関係を構築していただきたい。


あとがき

本書では、全体的にモノを売る側の立場で商談のコツを記載したのだが、これは買う側の立場でも全く変わらない。

商談前に4時間は準備する。
1時間前に現地に入って心と頭の準備をする。
先方の会社を、よく調べプランB、プランCを考えておく。
会社概要を棒読みしない
相手の決裁範囲を見抜く。値引き幅など。
雑談をして率直な話し合いをできるようにする。

こちらをうまく行うことによって、良い商談ができる。
一つ一つの商談に、準備する時間が取れないと考えるかもしれないが、それなら商談を減らしたほうがいい。この程度の準備もできないような、おざなりな商談からは新しい価値は生まれないから、そういった商談は断ったほうがいい。

では、本書は、ここで終わりとさせていただく。
本書が、皆様の商談の役に立ち、新たな付加価値を生み出し、日本社会全体、ひいてはグローバル経済に良い影響を及ぼすことを壮大に想像しながら、最後に感謝を伝えたい。
読了、ありがとうございました。

もし本書が少しでもお役に立てたようでしたら、下記よりシェアいただけると大きなモチベーションになります。