文章力。CEOの率直に伝わるメール術。絶版本無料公開中!

 

文章力。CEOの率直に伝わるメール術。


Contents

まえがき

実のところ、CEOのメールと一般社員のメールの書き方はまったく違う。彼らは大量の仕事を素早くこなすエキスパートだから、身の回りの物事を常にシンプルに整えて最大の効率化、最適化を行っている。それはメールにもあらわれていて、彼らの文章は簡潔、率直、わかりやすい。と、三拍子そろっている。普通の社員のメールとCEOのメールに違いが出る理由は「時間」に対する価値観の差だ。
CEOは「時間」の価値を良く知っている。時は金なりを、ふだんから徹底しているのだ。あと1時間あれば100万円多く稼げたのに、あと1日あれば1000万円多く稼げたのにと、ふだんから時間と真剣に向き合っているからメールも研ぎ澄まされる。より時間を作るために研ぎ澄まされる。自分の時間を作るためでもあるし、読む相手の時間を守る気遣いでもある。そうなるとメールは簡潔でなければならない。そして率直に要件がすぐにわかる必要がある。

本書ではCEOのメール術を紹介する。本書を読了いただければ、あなたもCEOのメール術が身につくはずだ。するとあなたのビジネスパートナーは、あなたと仕事がしやすくなるだろう。そうなれば仕事がうまくいく。是非、CEOのメール術を身に付けてビジネス人生に活かしてほしい。

 


余計なことは書かない

メールでは挨拶文が多くなってしまいがちだ。そして挨拶は定型文であるから、書く方も読む方も時間の無駄だ。もちろん「お世話になっております。」の一言くらいはいい。辞書に登録してしまえば、タイピングする必要もない。

 

こういった挨拶はやめよう。

お世話になっております。
足利商事の細川です。昨日は、急なお願いにも係わらず商談の場をご用意いただき有り難うございました。いただいた資料もわかりやすく、大変参考になりました。今後とも御社の業務に貢献できるように誠心誠意邁進致しますので何卒お引き立て賜りますようお願い申し上げます。

さて、次回の商談ですが下記の日程でよろしいでしょうか?

8月6日 2時 御社にて

上記のようなメールは極端だろうか?
今どき、このような形式張ったメールを送る人は少ないかもしれないが、まずこういったメールをもらった場合に考えるのは、どこまでが提携文だろうか?ということだ。この場合、今後とも~申し上げます。までは定型文のように見える。一見改めてお礼を言っているし、礼儀正しいように見えるのだが、CEOならこういったメールはしない。

下記にCEOのメールの例をあげる。

お世話になっております。
昨日は、ありがとうございました。大変、勉強になりました。

次回商談は、8月6日(水曜日)14時から御社でよろしいでしょうか?
ご確認ください。

CEOなら、このように簡潔に書く。これなら相手も確認するのが楽だし簡潔で要件がわかりやすい。ズバッと核心だけを言及するのがCEOのやり方だ。

また、このメールで注目すべき点がもう一つある。日時の提示方法だ。CEOは、曜日まで記載している。これは自分にとっての確認でもあるし相手にとっての確認でもある。日付の勘違いは曜日を記載することで防げる。こういった細かい気遣いもCEOの特徴でメールの文章は短くても、一手間かけて相手を気遣い、自分にも意味のある内容にする。また、時間の提示方法も注目してほしい。一般社員は2時としているが、CEOは14時だ。もちろん午前2時に商談をすることはありえないから、どちらの表記でも意味は伝わるのだが、9時や8時の場合は、午前中、午後の2つの可能性がある。そのため午後なら24時間表記で記載するか、午後表記をつける。午前なら、午前9時というように、必ず午前表記をつける。こういった紛らわしさを徹底的に排除するのもCEOの特徴だ。紛らわしい表記をすると、あとで確認したり間違えたり無駄な時間がかかってしまう。時間の無駄遣いはCEOが一番恐れることだ。だから自然と間違えようがないメールを書く。
正しく伝わるメールを書く技術は誰にとっても有効なものなので、是非身に付けてもらいたい。


箇条書きを多用する

CEOは要点をまとめるために箇条書きを多用する傾向がある。箇条書きは、そのままタスクリストになるから非常に便利で使いやすい。
たとえば、確認事項が2つの場合でもCEOなら箇条書きを使うだろう。一般社員のメールと比較してみよう。

一般社員のメール

コストの件に関しては10%割引で問題ないかと考えているのですが、御社ではいかがでしょうか。ご確認いただけますか?
また、新規商材の導入ですが、商談中に来月から導入の可能性があると伺いましたが、現状いかがでしょうか。こちらもあわせてご確認いただけると幸いです。

これがCEOのメールになると下記のようになる。

2点確認事項があります。

1、コストは10%引きで問題ありませんか?
2、新規商材は来月から導入できますか?

上記2点、ご確認ください。

少し、ぶっきらぼうかと思うなら、

上記2点、お手数ですがご確認ください。

このようにワンクッション入れてもいい。
しかし丁寧さよりも簡潔さを選ぶのもCEOの特徴だ。それは自分自身が丁寧さよりも簡潔さを望んでいるからだ。
丁寧さとは実際のところ主観だ。人によって感じ方が違う。「お手数ですが」という一言に丁寧さを感じる人もいれば、そうでない人もいるだろう。
しかし簡潔さは誰に対しても一定だ。文字数が少なければ、そのぶん読む時間が少なくて済むから、相手にとっても必ず時間的なメリットがある。
成果がはっきりしない丁寧さよりも、確実に相手の時間を無駄にさせない簡潔さをCEOが好むのは、彼らが一般社員より時間とお金に追われているからである。
つねに、その2つを真剣に考えているからメールでも、確実なメリットを選択する。ようするに簡潔さである。
簡潔さは時間に直結しているが、丁寧さは相手に伝わるか否かは未知数である。したがって最低限の敬語を使っていれば問題ないとCEOは考える。


相手の立場になって書く

CEOと一般社員の大きな違いは相手の立場に立つ力でもある。CEOは常に顧客のことを考えているから、相手の立場に立つ力が自然と鍛えられている。それがメールの文章にもあらわれる。相手が読みたいことを想像しながら書くことができるのだ。対して一般社員は自分が書きたいことを書いてしまう。
もちろん伝えなければならない要件は同じようにあるのだが、そこの気持ちの違いによって文章は変わってくる。相手本意か、自分本意か、文章はそこを露骨にあらわしてしまう。

例を見てみよう。

一般社員の場合

御社のAという問題を解決するには当社のBというソリューションを使うと有効です。確実とは言えませんが、解決する可能性は非常に高いと思います。また、もし解決しない場合、お代はいただきません。是非、一度、お試しください。

CEOの場合

1、御社の課題Aは、当社のBで90%の確率で解決可能です。
2、成功報酬で50万円いただきます。失敗した場合は無料です。
3、一週間以内に対応可能です。結果は2ヶ月以内にわかります。

一般社員の書き方はビジネスシーンでよく見かけるだろう。しかしCEOのメールと比べると修正点がいくつも見つかる。
まず、ソリューションという外来語だ。これはとくに必要ない。商品名があるなら商品名で十分だ。
次に「確実とは言えませんが」の部分だが、これも実際はどのくらいの可能性があるかわからない。伝わりにくい。成果報酬制で失敗した場合には代金不要ということだが、それも、言い回しが少しわかりにくい。

CEOのメールを見てみよう。

まず、一般社員のメールでわかりにくかった成功確率が数字で明記されている。そもそもやってみなければわからないというシチュエーションのようだが、数値で語られたほうが相手はわかりやすい。
次に、一般社員のメールでは言及していなかった金額が書かれていることに注目したい
。顧客側から見れば結局いくら掛かるのか、それが一番気になるところだ。一般社員は、そこに言及していない。全て説明が終わったあとに伝えようと思っているのかもしれないが、予算を大幅に超えているような場合にはお互いに時間の無駄になってしまうので、CEOは最初に金額を伝えている。相手と自分の時間を大切にするという考え方を持っているとこのようになる。
また、成功報酬制であることも、わかりやすく説明している。一般社員の場合は、「失敗」を「成功しない場合」、「無料」を「お代をいただかない」と言い換えてまろやかな表現にしているのだが、丁寧なようでわかりにくい。そこははっきりと「失敗」「無料」という言葉を使おう。強すぎる印象があるかもしれないが、伝わりやすいほうが重要だ。
最後に、納期についての言及がある。いつまでに対応がはじめられて、いつまでに結果がわかるのか。顧客にしてみれば、これは非常に重要な情報だろう。文面から察するに、顧客は問題を抱えているわけだ。できるかぎり早く解決したいに違いない。この状況で一般社員のようなメールが来たらどうだろうか。金額はわからないし、納期はわからない。顧客のもっともコアな部分をおさえてないのだ。
CEOは、さすがに朝から晩まで顧客のことを考えているから、顧客に必要な情報をしっかりと盛り込む。しかも文章は簡素で読みやすい。


ぶっきらぼうと率直さ

周りくどいメールをいつも読んでいると、CEOのメールはぶっきらぼうに感じるかもしれない。しかしそれはあなたが一般社員のメールに慣れてしまったからだ。CEO同士のメールは簡素で率直で、それでも情報は相手の意図するところを外していないものになる。それに慣れていくと一般社員のメールは、非常に無駄が多いことがわかってくる。

この挨拶は必要なのか?
この部分は箇条書きにすればわかりやすいのに
こちらにとって必要な情報がいくつか足りない。
価格がない。
納期がない。

逆にCEOは一般社員のメールを見て仕事ができる人間かどうかを判断している。

CEOにメールを出すときは気をつけよう。できるかぎり簡素で率直なメールを心がけつつ、必要な情報はしっかりと入れてほしい。それができればCEOはあなたのことを評価するだろう。


CEOのメールは、とにかく短い

結局、文は長くなればなるほど相手の時間を奪うのだ。一般社員は長く書いたら誠意が伝わる、仕事の熱意が伝わると思っているかもしれない。自分がインテリだとアピールできると思っているかもしれない。しかしCEOはこう考える。

まとめる力がない。
相手の時間を平気で奪う図々しい時間くい虫だ。
実際に会っても話が長そうだ。

メールがうまくなるコツで一番意識しやすいのは、「短くする」ということだ。
どれだけ、無駄な情報や文字を省いて短くできるかが重要だ。実は職業作家でも短く書くのは意識していることだ。一度文章を書き上げ3割から4割を推敲しながら削ってしまう作家も多い。
だから、あなたがCEOメールを書きたいと思ったら、一度書き上げたあとに3割から4割文字数を減らしてみよう。もうこれ以上は、減らせないというところから、さらに一回り減らすことで非常に読みやすいメールになる。例をあげよう。

推敲前のメール 239文字

お世話になっております。
株式会社天下布武の羽柴藤吉郎です。昨日のミーティングありがとうございました。
上司の織田も非常に喜んでおりました。御社の新製品はすばらしく早速仕入れさせていただきたいと、当社でも大いに盛り上がっております。
つきましては、取引条件ですが、お支払いは月末締めの月末払いでよろしいでしょうか?
また、販売価格は御社で決定するということだったのですが、利益を50%いただくことは可能でしょうか?
以上、大変お手数となりますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

推敲後のメール 131文字

お世話になっております。
羽柴です。
昨日は、織田共々、ありがとうございました。
すばらしい商品なので早速取引条件を詰めさせてください。

下記、当社の希望です。
1、お支払い条件 月末締め月末払い
2、利益率50%(販売価格は御社決定で問題なし)

以上、よろしくお願いします。

推敲前と後で35%ほど文字を削ったケースだ。文字を削るためには、余計な部分を見つけ出して本質だけを書かなければならないので、内容がスッキリとしてわかりやすくなる。実のところ、このメールの要件は二点だった。支払い条件と利益率だ。だから、それだけを抜き出し箇条書きすれば相手としても論点が二点とわかりやすいし、それがクリアできれば取引開始できると直感的に理解でき、モチベーションもあがる。商談が有意義だったかどうかのリップサービスはいらないから、早くビジネスを進めて、本当に有効な商談にしたいのがCEOだ。
CEOメールを書きたいなら、無駄な文字を徹底的に削ることだ。上記のメールでさらに追加するなら、相手の検討期限だろう。

たとえばこうだ。

以上、よろしければ8月6日までにご回答ください。

このような形で、後ろを区切ることによりスケジュールに目処が立つし、こちらの本気度も示せる。


あとがき

実行するのは1%。

本を読んだりセミナーに言ったりして、よいノウハウを学んでも実行するのは、わずかに1%しかいないと言われている。それでもビジネス書は売れるし、ビジネスセミナーは無数に開催されている。ようするに実行に移さないから、何度も同じような本を買うし、同じようなセミナーに行く。ただ、この1%という数字は一般社員の数字だろう。CEOは時間の価値を誰よりも知っている人種だ。だから己の時間を使って読んだ本、受けたセミナーは、必ず有効に利用する。CEOと一般社員の違いは「時間」の感覚の差に言及できる。本書で紹介したメール術も結局のところCEOの「時間観」から生まれているものなのだ。

自分の時間を奪わない。
人の時間を奪わない。

これこそが全ての根底である。

では、最後に読者のみなさまが、実行に至る、わずか1%であることを祈って本書を締めさせていただく。

読了、大感謝。


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